マルマラ地方：アジア（トローアス）とヨーロッパ（ガリポリ/ゲリボル半島）のそれぞれに県域を持ち、間にダーダネルス海峡がある。海峡交通の要所であり、古来から貿易港として栄える。第一次大戦中にガリポリ半島に上陸しようとした連合軍をオスマン帝国軍指揮官であったアタテュルクが撤退させた戦い（Dardanelles campaign/Çanakkale Savaşı）があり、記念碑がある。
見所：「トロイの木馬」で有名な、トロイ遺跡（世界文化遺産）のほか、トルコ最大の島でワイン醸造の有名なギョクチェアダ島（旧イムロズ島）などもあり、ヨーロッパからフェリーが発着することから観光客が多い。
主な踊りの種類
◆ゼイベク Zeybek
男女ともゆったりとした調子の踊りをする。男性のみ、女性のみ、また男女混合でも踊られる。民謡がつくものもあり、歌詞よりもメロディーが重要視されている。
トルクメンの人々の宗教的な踊りであるSamahも踊られる。この地方で演奏されるものは、アナトリア中部〜東部で行われるSamahよりも遅いテンポで演奏される。
「代表的な踊り」に記載したもの以外でも、移民してきたチェルケス Çerkezler やボスニア Boşnaklar、ポマック（ブルガリア） Pomaklar の人々などが独自に踊るものもある。
◇代表的な踊り
＊男性が踊るもの
Harmandalı / Kaba Güvende / Karanfilin Moruna (Çiftleme Zeybeği) / Kusköy Zeybeği / Çan Sekmesi (Süzme)
＊女性が踊るもの
Çan Sekmesi (Süzme) / Evreşe Yolları / Karyolamın Demiri / Harmandalı / Bayramiç Karşılaması 男女とも同じ名前踊りもあるが、振りは違う。
使われる楽器
◆ダヴル Davul ／ ズルナ Zurna ／ クラリネット klarnet ／ ケマン keman ／ ダルブッカ darbuka
◇その他：Samahの時にはBağlamaも使う。
チェルケスダンスではakordeon（アコーディオン）や phacic（phaçıç/扇子状のリズムをとる楽器）なども使われる。
衣装
◆踊りの際に使う衣装はエーゲ海地方のエフェの衣装とほぼ同じだが、やや軽装。女性の衣装は地中海沿岸の華やかさとアナトリアの織物＆重ね着が混ざり合った雰囲気のもの。
◆女性は Altın Başlıkと呼ばれる頭飾りを着ける。これはTakke（帽子状のもの）、Kat Altın（金パーツ）、Kaş Bastı（青ビーズと金のパーツ）、Ak Pürkeçli(Ak Oyalı：スパンコール入りフィルケテオヤ付きの白布)、Al Pullu（スパンコール刺繍のしてある布）などで構成されている。Don、Gömlek（シャツ）を着て、ベルベットで出来たDallı（Bindallı üç Etek）を着、上着の一種Salta（İl Bade）を着る。DallıとSaltaは花嫁または新嫁が着るもの。Dallıの前に独特なウール織のÖn Gergiを着ける。これは赤と白でモチーフが織られているもので、Koza（繭の意）と呼ばれる白と青の糸ポンポンが付き、下端はSaçakと呼ばれるタッセルで飾る。Çevreと呼ばれる布を三角に折って端を前にまわしてつけ、前に留め金の付いた金属ベルトの一種Palta Kuşak（Okka Kuşak）でとめる。
手織りの靴下を履き、足首部分が布張りの革ショートブーツを履く。
◆男性は Fesをかぶり、オヤの付いたYemeniを巻く。Yemeni（オヤ付き/無しともに）は首にも巻いていることがある。バンドカラーのGömlek（シャツ）を着て、銀糸または色糸刺繍のしてあるİç Cepken（＝Yelek ベスト）、Cepken（上着）を着、前2つと同じ生地で作り同様の刺繍のあるPoturを履く。Poturの短いものは特別な時用、長いものは日常着。上からKuşakを締め、Silahlık（武器入れ）を着ける場合もあるが、太い帯状の革ベルトのみの場合もある。Yağlık（刺繍のあるハンカチでKuşakの上に付ける）を飾る。
Tozluk(革または布の脛当て：布の場合はCepkenやPoturと同じ布・刺繍)とKundura（かかとの低いつま先のとがった黒い靴）を履くか、TozlukとÇarık（革サンダル）、またはTozlukを着けずに長靴を着用する場合もある。